工作機械とは?

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「工作機械」という名称を聞いたことはあるでしょうか?
私たちの身近にある製品の多くに関わっている機械ですが、直接目にする機会はあまりないでしょう。

今回は、工作機械とはどういったものなのか紹介していきます。

1. 工作機械とは?

工作機械とは、簡単に言うと「材料を目的の形に加工する機械」を指します。

正確には、下記のように定義されています。

「主として金属の工作物を,切削,研削などによって,又は電気,その他のエネルギーを利用して不要な部分を取り除き,所要の形状に作り上げる機械。」

引用:JIS規格票(https://kikakurui.com/b0/B0105-2012-01.html)

私たちが普段何気なく手にしているスマートフォンやタブレット、通勤通学に利用している自転車、自動車、電車など、私たちの身の回りは様々な機器であふれています。

これらの機器はいくつもの細かい部品から構成されており、例えば、スマートフォンであれば約1,500点、自動車であれば約30,000点の部品から構成されています。そして、これらの機器の部品の多くを作っている機械が「工作機械」なのです。

工作機械がなければ機器などの製品を構成する部品を作ることができないことから、工作機械は「機械を作る機械」や「マザーマシン」とも呼ばれています。まさに、ものづくりを支えている機械と言えるでしょう。

工作機械で作られるもの画像
工作機械が作り出す「部品」から「製品」が作り出される

2. 工作機械の歴史

工作機械の歴史は古く、古代エジプト紀元前300年頃から存在すると言われています。この頃のエジプトのお墓には、棒状の部材が描かれていたり、壁画にも機械で作業する様子が描かれており、記録にも残っています。

弓のような構造で工具を回転させる「弓ぎり」という機械がありますが、このような機構を持つ機械で材料を削っていたと言われています。現代でいうと、工作機械の一つである「ボール盤」の最古の事例ではないでしょうか。

3. 工作機械の種類

工作機械は、いくつもの機械のことを総称して「工作機械」と呼ばれています。

円筒形状を加工するための「旋盤」
平面や溝を加工するための「フライス盤」
高精度な仕上げ加工を行う「研削盤」

など、これらはすべて工作機械に当たり、その性能や外見も様々です。以下、代表的な工作機械を紹介します。

旋盤

加工したい素材を回転させ、刃物をあてることにより、円筒形状に削り出す機械です。

外径加工、内径加工、端面加工、ネジ加工、溝加工、穴加工(ドリル加工)、円錐形状のような角度をつけたテーパー加工などが可能です。

フライス盤

加工したい材料を固定し、フライスと呼ばれる刃物を回転させて当てることにより削り出しを行う機械です。

角ばった材料に対し、平面を作ったり、段差をつけたり、溝を入れたり、穴をあける時などに使用します。

マシニングセンタ

フライス盤と似た機械に「マシニングセンタ」があります。フライス盤との大きな違いとして自動工具交換装置(ATC:Automatic Tool Changer)が付いているかいないか、という点が挙げられ、ATCの搭載によりフライス盤に比べて生産性が大きく向上しています。

複合加工機

複合加工機とは、工具の自動交換機能(タレット形を含む。)を備え、工作物の段取り替えなしに、フライス削り、旋削、研削などの多種類の加工のできる数値制御工作機械です。

工作機械の種類や特徴についてはこちらの記事でも紹介しています。

4. NC工作機械(NC装置)とは?

「NC」とは「Numerical Control(数値制御)」を意味しており、NC工作機械が搭載された機械は人間が直接機械を操作して加工を行うのではなく、予め作成しておいたプログラムをNC工作機械が認識し、機械に指示を送ることで決められた数値通りに加工を行ってくれます。

NC工作機械が付いている機械と付いていない機械は区別され、例えば旋盤であれば、NC工作機械が付いている旋盤を「NC旋盤」、NC工作機械が付いていない旋盤を「汎用旋盤」と分けて呼んでいます。

現在、各工作機械メーカーが発表している新製品の機械のほとんどにはNC工作機械が搭載されています。工作機械の汎用機による手動での加工から、NC工作機械による自動加工が可能になったことにより、製造業の大量生産化が一気に進んだといえるでしょう。

NC工作機械のメリット

NC工作機械によるメリットは数多くあり、NC工作機械なしでは現在の製造業の大量生産化は成しえなかったでしょう。

  • ・自動加工

先に紹介した通り、作成した加工プログラムに沿って自動的に加工を行います。これにより、旋盤に作業者が付きっきりで作業をする必要がなくなるため、一人で複数台の機械を担当することができ、より少ない人員で工場を動かすことができます。

  • ・高精度

メーカーや機種によっても異なりますが、例えばNC旋盤であれば0.001mmの単位まで正確に位置決めを行うことができ、高精度な加工が可能です。これにより、従来では難しかった精度が要求される部品の加工も可能となりました。

  • ・精度が均一

プログラムで書かれた数値通りに旋盤が加工を行うことにより、完成品の精度が均一に仕上がり、一度設定してしまえば、同一品質の物を大量に作ることができます。

5. まとめ

工作機械は世界中のものづくりを支え、製品作りの元となる機械です。

身近にある製品は小型化、高性能化がどんどん進んでいますが、その背景には工作機械の性能・精度の向上が大きく関わっています。工作機械の進歩が無ければ、もしかしたら、身の回りの製品のいくつかは生み出されていなかったかもしれません。

この記事を読んで、工作機械について少しでも知ってもらえたなら幸いです。